仲間の能力が開花する瞬間に立ち会う、最高の幸せ。
書籍・CD・ゲームソフトなどエンターテイメントに特化したリサイクル事業を展開する、㈱サンセットコーポレイション。1991年にわずか6坪の店舗でスタートした同社だが、現在の店舗数は36店舗(2008年10月現在)、年商は実に100億を超える。同社創業者である、丹野照夫氏は取材に訪れた私に対し開口一番「コンプレックスの塊なんです。」と全く想像していなかった返答を穏やかに語り、その語り口に魅きつけられ取材はスタートした。
丹野氏の創業のきっかけは高校時代に遡る。氏にとっての高校時代は、青春時代と形容されるには程遠い厳しいものだった。というのも、この学び舎で留年を経験する。丹野氏の人生観にも大きく影響を与え、「全ての原点(丹野氏)」だという。青年を支配したのは無気力と云う闇。何をするにも全く楽しくなかったと語る。その後、大学へ進学するも状況は変わらなかったという。ある時、丹野氏は一冊の本を手にする。本のタイトルは、城山三郎の「外食王の餓え」。この本との出会いで、起業への想いが募り、青年は一念発起する。
丹野氏の行動は凄まじかった。起業するため、社会経験が必要と判断し、肉体労働など所謂3Kを修行の場に選ぶ。きつい仕事に、体が悲鳴を上げる日々が続くも「逃げ出さない、自分を変える。(丹野氏)」との信念を持ち、丹野氏は見事に自身で課した命題を解決し、起業への道を歩み始める。このころの丹野氏が自信に満ち溢れていたことは容易に想像できる。
「参入障壁を構築していない企業は、いずれ淘太される。」この言葉を裏付けるように、同社はエンターテイメントに特化したリユース事業を手掛け、プライスコントロールのために自社開発のPOSシステムを導入している。結果、これが強固な事業基盤となり他社の追随を許さない。
「ベンチャー企業とは大海を筏で渡るようなもの。経営陣の牽引力・情熱に全てが掛かっている。」同社には、社内ベンチャー制度がある。新規事業プロジェクトを推進し、成功すれば最高1000万円の報酬が受けられるという。こうした制度も丹野氏の持つ経営観が如実に現れている。「人も仕事も挑戦なくして、信用は得られない。」
楽しいエピソードがあるという。それは「社員の能力が開花する瞬間に立ち会ったこと(丹野氏)」と満面の笑みで語り始めた。「責任のある仕事を与えられ、任される喜び。これは自分が生きている証拠でしょうね。結局、人財力が弊社の最大の強みです。(丹野氏)」 丹野氏は、経営者であり社員の気持ちがわかる哲学者であると取材を通じて感じた。取材中、丹野氏は一度も「社員」という言葉を使わなかった。使ったのは「仲間」。氏の経営観はここに集約されている。


