ナショナルなものしか、インターナショナルになれない
mixiに代表されるソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の登場により、パソコンや携帯に掛ける時間は大幅に増えたことであろう。ITにあまり詳しくない私でも、従来よりも手軽に簡単に“自分発“を実現出来るこのツールはいまや日常生活には欠かせないモノになっている。
手嶋屋は、OpenPNEというオープンソースのSNSを提供する企業。業務としては、OpenPNEのサポートや商用のASPサービスをおこなっている。このOpenPNEを活用して独自のSNSを運営するサイトは既に3万種類を超え、利用者数も推定300万人規模に到達する。創業者である手嶋守氏は、大学時代に人工知能を専攻していた。将来は研究職に就こうと考えていたが、大学の友人に誘われて、起業への道を歩み始めた。
手嶋氏の両親は会社経営者。そんな家庭環境の影響もあったのであろうか、「学生ベンチャー」を3人で立ち上げることとなる。「創業してから第7期目に入るのですが、大学四年生の時が卒業研究や原稿執筆もあり一番忙しかった」と振り返る。「そのかわり、学校をオフィス代わりに使わせてもらったので、夏休みは皆勤賞でした」と笑う。 この学生ベンチャーも、様々な要因もあり空中分解してしまう。「それなら、自分の人生は自分で決める。新たに自分で会社を立ち上げよう」決意を新たにするきっかけとなった。
手嶋屋のOpenPNEは、「すべての組織や企業のインフラになるコミュニケーションツール」である。「従来のツールは、企業の“情報の見える化”はしていても“人の見える化”までは万全ではない」という。つまり会社をより良くするためにSNSは有効だと考える。またこうしたコミュニケーション・ツールは掲示板などと違い、一定のクローズドな空間を提供するため「荒れる」ことが少ないという。
OpenPNEも4月には低価格プラン、7月には中小企業向けの社内SNS「OpenPNE Office」をリリースする。注目すべきは「従来の導入コストをおよそ4分の1に下げた」という点。自社でSNSを運営したいと考える企業にとっては一考の余地があるであろう。
また、何より私が興味を持ったのは今秋リリースが予定されている、OpenPNE海外版。「国際化対応は自然の流れ」というように、日本から世界へ挑戦する。 「日本の製品の良さは、ユーザーのためのきめ細かい設計。またSNSの特徴にも当てはまる日本ならではの“本音と建前”。日本文化を考えた結果、その良さを売込めば間違いはない。ナショナルなものしか、インターナショナルになれないんです」と語る。日本や自分のアイデンティティーを見つめ、自然体で事業を展開する同社。オフィス入り口の「手嶋屋」の緑の暖簾がそれを如実にあらわしている。


