ぶっこわれたプリズムが会社を繋ぐ
ビジネスマンなら「乗換案内」を使い、目的地への移動ルートや時間を検索したことがあるに違いない。今や電車を使う人には、欠かせないを超えて当たり前になっている「乗換案内」の運営企業、ジョルダンの代表取締役社長 佐藤俊和氏にお話を伺った。
乗換案内はどのようにして生まれたのか?また、アイデアの源泉はどこにあるのだろうか。佐藤氏は東大卒業後、入社した開発会社でアルゴリズムを担当する。与えられた命題は水道管の最適化。川から浄水し家庭に水を供給する最適なルートを導き出すことに没頭していた。「点と線をつなぐ。」地下に組み込まれた水道管は大都市を縦横無尽に走る。この難題の解決にアルゴリズムを踏まえた上でのプログラミングがジョルダン誕生のきっかけにもなった。1番の最適化ルートを判明するアルゴリズムは作ったが、2番目以降がこのプログラミングでは判明しないことに気づく。それと同時にイメージが佐藤氏に降り注がれた。商品化の瞬間である。
ジョルダンを上場に導いた佐藤氏の創業は早かったが、それからの展開は予想以上に遅い。当時は好きなことをやりながら慌てず自分が一体何をやりたいのか考え続けたと語る。30歳になった時モラトリアムで起業したと笑いながら語るが、成功のアルゴリズムを導き出していたのではないかと疑いたくなるほど、乗換案内発売からは一気に上場まで突き進んだ。
そんな佐藤氏の経営観は発想にガツンと与えることを意識している。つまり商品として見たとき、顧客があっと驚く商品をぶつけていく。そして「ぶっこわれたプリズムを保つ会社でいたい」と語る。ユニークなエピソードを聞いた。創業時のジョルダンは社員が当番制で経理を担当していたという。また各自の給料も自身で決定していた。そして何より平気で社員達が本気でケンカする風土があった。社員一人一人がこだわりを持つ場を提供することを経営において意識していた結果かもしれない。羨ましい環境の会社である。
最後に佐藤氏から経営において最近わかったことと前置きした上で語って頂いた言葉がある。「前向きに考えるしかない。危機を学ぶことが重要。そして思えば通じる。」緻密に計算されたアルゴリズムを基に様々なプログラムを開発する同社のイメージとは一転して真逆のコトバ。いい意味で予想を大きく裏切るとは正にこういうことなのか。「ぶっこわれた発想」で我々は今後も同社に驚かされるのであろう。

